AMD敗北宣言とかdocomoのiPhoneとか

また日経か…(以上おわり)

もうひとつの件、AMD が x86 アーキテクチャ CPU で、intel と真っ向勝負するのを諦めた模様、というのが話題になっています。知識や文化の蓄積と同様に(速度という点ではそれ以上に)、時間の経過とともに技術が蓄積されていくし、特にCPUをはじめとする半導体の設計開発においては、それ自体がCPUパワーによって高効率・短時間で行われるように後押しされるので、次世代、そのまた次世代と、文字通り加速度的に進歩していきます。

AMD のかつての K6 シリーズや Athlon 64 が、intel の同時期の Pentium 製品群と互角に渡り合い、場合によってはそれらのライバルを凌駕していたのは記憶に新しいところです。会社の規模としては intel とは比較にならないほど小さな AMD が、短いながらもこの一時代を築くことができたのは、本質的には2つの理由があったと思います。

1つは、当時の CPU の設計が「まだ」それほど複雑ではなく、製造プロセスも「まだ」それほど微細ではなく、技術の蓄積度合いも「まだ」それほど厚くなかったため、少人数の優秀な技術者集団が、その創意工夫を入れ込む余地があったということです。残念なことに、敗北宣言を行うきっかけとなった Bulldozer の失敗は、この創意工夫を発揮できない開発手法に走ってしまったことが原因と考えられます。

もう1つは、Athlon 64 の世代に特化した話ですが、intel が NetBurst マイクロアーキテクチャで迷走していた、つまりは敵失に助けられたということです。この intel の NetBurst 採用についても、当時としては最良の選択だったと思いますが、限界が近いアーキテクチャであることを知りながらそちらに突き進んでしまったという意味で、今となっては「創意工夫の時間を待てなかった安易な選択」だったとも言えそうです。

その後 intel は NetBurst を諦め、当時はモバイル向けとしてラインナップされていた Pentium M 系列のアーキテクチャをメインに据える大転換を行い、そこから時間をかけて、たくさんの創意工夫を積み重ねて、現在の Core i シリーズに辿り着きました。2011年12月現在で最新の Sandy Bridge マイクロアーキテクチャはその集大成で、AMD が x86 から撤退するとなれば、Sandy Bridge (とその 22nm シュリンク版の Ivy Bridge) が「x86の完成形」になるかもしれません。

ここでユダヤがどうとか言いだすと話がこじれますが(笑)、Pentium M も Sandy Bridge も、intel 社のイスラエルにある開発チームが設計したものです。このあたりの記事からも、相当に個性的で、相当に自由奔放な技術者たちだったことがうかがえます。彼らが発揮した創意工夫は、人類の技術発展への貢献という観点からも、人類の存在意義が、その優れた思考能力と、それによる知恵・文化・技術・芸術[・etc…]の発展にあるということを再認識させてくれるという観点からも、大きく賞賛されるべきものだと思います。

少し上で Sandy Bridge が x86 の完成形に、みたいなことを書いていますが、実際にはそのひとつ前の Nehalem で、Core アーキテクチャの主要な改良は済ませていたとも言えます。どうも最近の intel では、新機軸を積極的に投入する「開発版」をイスラエルチームが、それを小改良した「安定版」をオレゴンチームが担っているようにも見えます(笑)ので、オレゴン担当の Haswell が安定版の完成形になるという予想もできます。今後は Windows 8 に向けた機能追加や刷新はあるものの、開発の主軸は省電力化になっていくようです。Haswell は 14nm プロセスを視野に入れているようなので、相当な省電力化が期待されますね。

AMD の今後は、モバイルや組み込み系に行くしかなさそうな気がしますが、既存の ARM アーキテクチャ陣営との棲み分けや、 intel 自身がすでにそのターゲットを ARM 陣営に集中していることなどから、前途多難が予想されます。

ちょっと前の投稿で、AMD というか ATI の Radeon HD5450 搭載カードを購入したと書きました。GPU 界でライバルの nVidia の売り上げ規模と比べてしまうと、ATI ブランドはさほど AMD の利益には貢献していないようなので、こちらもやや心配です。

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